【東洋美術学校×MUGENUP #4】ゲームイラストで役立つアニメ塗り技法

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東洋美術学校とMUGENUPの産学連携講義「仕様書から読み解くイラスト実践講義」の第4回目の様子をレポートします。今回のテーマは「アニメ塗り」です。アニメ塗りは厚塗りに比べれば簡単と思われがちですが、塗りのスキルアップに必要なポイントがぎっしり詰まっています

ゲームとアニメではちょっとちがう「アニメ塗り」

「アニメ塗り」を簡単に定義すると「ベタ塗りにシンプルな影を重ねた塗り方」と言えるでしょう。その名前の通りTVアニメを中心によく利用されてきた塗り方です。アニメでは何枚も描いた絵を動かしやすいように、色数は少なく、影は非常にシンプルに描かれます。

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▲ゲームイラストのアニメ塗りは色数が多い

一方、ゲームイラストのアニメ塗りは、色数が多く、何段階も影を重ねる表現が多用されます。これは、静止画としてスマホのような小さな画面で見た時に、見栄えが良くなることを意識しているためです。ブラシなどは使わないため、色が濁らず発色が鮮やかに仕上がるのが特徴です。

さて、ここからはゲームイラストのアニメ塗りを「配色」「光源」「影」「ハイライトによる素材感の描き分け」の4つのポイントからご紹介します。

配色:指示書をよく読んでイメージをつかもう

アニメ塗りの第一歩は配色です。ベタ塗りの面積が多いアニメ塗りでは、配色が仕上がりの印象を大きく左右します。配色の際に意識したいのが「指示書」に書かれたキャラクターの設定です。キャラクターの性格や属性などを効果的に表せる配色を選択しましょう。

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ベースとなる色が決まったら、配色の展開を決めていきましょう。下図のような配色パレットをあらかじめ創ってしまうのも良いかもしれません。配色にはパターンやセオリーも有りますが、最終的にはクリエイターのセンスが問われる部分です。いろいろな作品を配色に注目して見てみるのも良いですね。

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光源:シンプルにとらえてみよう
キャラのイメージを左右することも!

ここからはアニメ塗りのポイント「影」の描写に欠かせない「光源」についてです。どんなイラストを描く際も光源を明確に決めるようにしましょう。その上で、物体の形をシンプルに捉えて大きな影の形を決めます。以下の場合、頭=球体、体=立方体とみなしています。

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また、光源はキャラクターの印象を左右します。たとえば下の①は正義の勇者っぽく見えますが、②は主人公を狙う悪者キャラに見えます。光の当て方だけで、180度印象が変わります。

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影:1影→2影→3影、濃い影へと描きすすめよう

さあ、いよいよ影を描写します。TVアニメの場合、影は1段階だけで完成ということも多いのですが、ゲームイラストのアニメ塗りの場合3段階ぐらいまで細かく影を塗り重ねる事があります。塗る順番にあわせて、1影(イチカゲ)、2影(ニカゲ)、3影(サンカゲ)と呼びます。1影が大きな明暗を表す薄い影で、3影が服のシワ等の細かくて濃い影です。

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1影:まずおおまかに、影が当たる部分を塗ります。上のサンプルだと、右上が光源なので、左側に影ができます。
2影:1影よりもより光が当たらない部分に濃い影を追加します。
3影:物と物の隙間などに補足的に、最も濃い影を描き込んで完成です!

……4影、5影はないの? という疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、「アニメ塗り」と言われた場合は3影まで描写することが大半です。もっと影を描写しグラデーションが細かくなる(階調が多くなる)と、アニメ塗りらしさは失われてしまうからです。

ハイライト:素材感を描き分けるコツ

最後に、ハイライトの入れ方で様々な素材を描き分ける方法をご紹介します。例えば髪の毛はハイライトの形を変えることで、つやつやした印象・マットな印象などを表現できます。キャラに合った髪質を意識するのと同時に、同じ作品の他のキャラクターと揃えるのか、あえて違った表現にするのかを考えてみましょう。

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金属の質感もハイライトで表現できます。一番濃い影のとなりに、ハイライトをいれてコントラストを強めれば金属感が増します。光を反射している部分が、キラっと明るく見えるので、光源と向き合う面やパーツの角など、特に光があたっている部分にハイライトをいれます。

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1〜3影と、ハイライトをうまく組み合わせるだけ、アニメ塗りでもかなり幅広い表現が可能です。ぜひ色々な作品を見ながら、ご自身の作品に取り入れて下さい。

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講義ではこの後、生徒の皆さまの作品を添削したり、ライブペイント形式でアートディレクターの作業の様子を見ていただいたりしました。アニメ塗りには、塗り技術の上達に大事なエッセンスが詰まっています。ぜひ時間をかけてマスターして下さい。

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